東京は港区の高層ビル街の中に、緑に包まれた小高い山があります。その名前は愛宕山(あたごやま)。今でこそ、たくさんのビルに囲まれて、ビルからは見おろされていますが、その昔、大正時代にこの地でラジオ放送が始まった時は、見晴らしが良かったことでしょう。実は、東京23区内で自然の山としては最高峰(標高25.7メートル)!
そう、愛宕山は、日本の放送の歴史が始まった、記念すべき場所なのです。そして、この山のてっぺんに建っているのが「放送博物館」です。NHKが運営している放送博物館。ラジオやテレビの歴史がよくわかる展示がたくさん!
ラジオリスナーならぜひとも訪れておきたいスポットです。
さぁ、放送博物館ではどんな歴史とドラマに出会えるのでしょうか!
ようこそ、放送博物館へ
放送博物館を訪れたのは、2023年4月のこと。4月とはいえ、もうすでに蒸し暑さを感じる朝でした。高層ビル街をかき分けるように歩いていくと、愛宕山入り口の看板が。山の下にはトンネルも通っています。階段や坂道もあるのですが、そこはさすが都会ですね、エレベーターが完備されています。緑豊かな愛宕山をゆっくりと登ります。
愛宕山山頂には、愛宕神社、そして、放送博物館があります。開館時間前に到着したので、ベンチで腰を下ろして待ちます。
開館時間が近づくと、来場者が集まってきました。玄関横には、実際に鉄塔の上で使われていた、アンテナが展示されています。さすが、サイズが大きい!
お待ちかね、放送博物館の展示
いざ、放送博物館に足を踏み入れます。エントランスの横には、昔のラジオ・テレビやカメラといった貴重な機器がたくさん展示されています。
放送博物館は展示コースに加えて、8Kシアターやスタジオ体験ができる部屋があります。ライブラリーもあるので、調べ物をしたいひとは覗いてみては?
展示は、放送の歴史に沿って進みます。あまりにもたくさんの展示があるので、全部は紹介しきれません。
大正時代にラジオ放送が始まった頃の、放送開始を知らせるポスターやラジオ講座のテキストなどからスタート。戦時下と放送のコーナーでは、あの玉音放送のレコード盤も見ることができます。
戦後になると、テレビ全盛期をむかえます。ドラマの台本からはじまり、オリンピックで海外からの中継をするための技術図、当時のテレビカメラやテレビなどが展示されています。世代によっては懐かしく、若い人には新鮮に感じることでしょう。
展示コースは、1時間くらいあればしっかり全部見て回れると感じました。長時間かかる感じではなく、物足りないと思う人もいるかも知れませんね。でも、入場無料なので、一度行ってみてはどうでしょうか。
おかあさんといっしょやピタゴラスイッチの展示もあるので、お子さんと一緒に行くのもアリだと思います。朝ドラ、梅ちゃん先生のオープニング映像で使われた、ジオラマも展示してありました。ジオラマの細かさに感動。
8Kシアターとスタジオ体験
8Kシアターでは、巨大な画面で8Kの映像が流れています。8Kって、こんなに大きく映しても精細な映像が見られるんだなぁ、と感心しました。サウンドも迫力があります。
スタジオ体験では、天気予報の画面とニュース読みの体験ができます。
天気予報は、天気の画面の前に立って、棒を持ってお天気マークをスタンプみたいに貼り付けたりする体験ができます。
ニュース読みコーナーでは、プロンプターとよばれる装置で原稿を見ながら、ニュース放送の体験ができます。アナウンサーが下を見ずに、カメラ目線で原稿を読める、その秘密がわかります。
両方とも楽しかったです。
ラジオリスナーなら一度は行ってみたい!
ラジオとテレビの歴史を知って、改めて、放送やラジオって面白いな、と思いました。芸術でもあり、技術でもあり、文化でもあり。それでいて、公共性も求められる。この先の時代は、ラジオ・テレビはどんなふうに変化していくのでしょうか。ネットが普及してかなり経ちましたが、放送という分野が消滅することはないように思います。日々のラジオ生活を楽しみながら、ラジオとともに、その歴史を体感して生きていきたいな、と思いました。
それにしても、ラジオリスナーとしては、大正時代に生まれてみたかった!当時のひとからすれば、「ラジオの登場」は新鮮だったし、ワクワクしたでしょうね。
放送博物館公式サイト
https://www.nhk.or.jp/museum/